私は性感セラピストとして活動しております。その活動を通して、性について考えています。
日本語では、魅力的な男性のことを「色男」といいます。セクシーな女性のことを「色っぽい」と形容します。
このように、私たちは日常的に「色」ということばを使っていますが、その意味は一つではありません。
この記事では、日本語における「色」という言葉の多様な意味と、その背景について考察してみたいと思います。
辞書で見る『色』の定義
まず、大辞林で「色」を調べてみると、次のような意味が挙げられています。
いろ【色】 (名)
①光による視神経の刺激が脳の視覚中枢に伝えられて生ずる感覚。色相(色あい)・明度(明るさ)・彩度(あざやかさ)の三属性によって表される。また,特に白や黒を除いていう場合もある。色彩。「海の色」「明るい色」「いい色に上がる」
②物の表面に表れている,そのものの状態。
㋐顔色。また,表情。「色に出る」「色をなす」「色を変えて怒る」
㋑様子。情趣。「色を添える」「秋の色が深まる」
㋒(声などの)調子・響き。「声色」「音色」
㋓きざし。「あせりの色が見える」「敗戦の色が濃い」
㋔心のやさしさ。情愛。「心の色なく,情おくれ/徒然草」
㋕容姿。姿。「傍への色異なる人を御覧じても/太平記」
③男女の情愛に関する物事。
㋐男女間の情事・恋愛。「英雄色を好む」「色の道に通ずる」「色を売る」
㋑情人。恋人。
㋒遊女。
㋓遊里。
「このシャツの色、いいね」「このクルマの色、素敵だね」という場合、1番目の光の感覚について指します。
2番目については、次の百人一首を取り上げたいと思います。
忍ぶれど 色に出でにけり わが恋は ものや思ふと 人の問ふまで
(訳:心に隠していたけれど、顔色に表れてしまっていたのだなあ、私の恋心は。「何か物思いをしているのですか」と人が尋ねるほどに。)
この歌では、「色」は顔色、感情が表面に現れることを指しています。隠そうとしても恋心が顔に出てしまったという情景を詠んだものです。
2番目の意味でも、日常的によく使われます。
「色」がセックスを意味するわけ
では3番目の「色」、「色男」「色っぽい」の意味での色について考えます。
例えば、「色気がある」「英雄色を好む」など、多くの場合は肯定的なニュアンスで使われます。しかし、「好色」となると中立、あるいはややネガティブな響きになることもあります。
私は、なぜ色が男女の情愛、セックスを意味するのかわかりませんでした。
大辞林を読んでも特に書いてありません。さらに辞書を使って調べてみると、三省堂の『新明解国語辞典』には、次のような説明があります。
いろ【色】
㊀Ⓐ目に見える物一般がその特徴として持っていて、われわれが明るい所で見た時すぐ美醜・明暗・快不快を感じ取るもの。
㊁顔色。
㊂絵の具・化粧など、そのものの外貌(ガイボウ)を飾り整えるもの。
㊃〔美貌の女性には男が迷いがちであるところから〕女性を無限に愛したいという男の欲望。〔広義では、男性に対する女性の欲望や、相思の関係にある異性や情事一般をも指す。例、「━事」〕
4番目の定義には驚かされました。
「無限に愛したい」という欲望が「色」という言葉で表現されているとのこと。
なるほど・・・、納得です。確かにそうですわ。人間の本能的な感情が深く関わっているのでしょう。
「色」という言葉には、視覚的な意味だけでなく、物理的状態や感情、さらには男女間の情愛まで、多様な意味が込められています。
その背景には、日本語特有の文化的・感覚的な価値観が反映されているようです。
色即是空と性感セラピー〜身体と心の調和を求めて
私は、性感セラピストとして活動しています。
ここで、仏教の言葉である「色即是空」を取り上げます。これは私のセラピストとしての活動に重要な示唆を与えてくれると思うからです。
「色即是空」は「この世にある いっさいのものの本質は空だ ということ」を意味しています。
ここでの色とは「この世にあるすべてのもの」を指します。我々の五官で捉えることのできる世界といってもいいでしょう。
一方、空とは「固有の本質をもっていない」こと。言いかえると、我々の五官で捉えることのできないものです。
私の行っている性感マッサージでは、身体を扱っています。肌と肌のタッチを通じて、快感を呼び起こします。五官で捉えることのできるので、「色」です。
仏教では、同時にそれを「空」だと言っています。この空をわかりやすくすると、「心」であると私は理解しました。心は五感では捉えられません。
「色即是空」を私なりに解釈すると、性感マッサージの理想は、「目に見える肉体に性的な快感を引き起こすだけではなく、心そのものにも快感を与えなければならない。」ということです。
私自身の活動で、多くの女性が、肉体的な疲労を私に訴えてこられます。マッサージをご提供しておりますが、身体だけではなく、女性の心も尊重するようなものになっているだろうか。自問自答を続けています。
私は性感マッサージの活動を通して、肉体と心のコントロールと調和を最終的に目指したい。そのような心構えで取り組んでいます。